布施の町で、ちょっといい夜を迎えたいとき。ふと思い出すのが「西光園」だ。
駅から5分、商店街の先にどんと構えるその姿は、昔から変わらずこの町に馴染んでいる。国産和牛の旨みを、家族や仲間と囲む時間ごとじっくり焼く。特別すぎないけど、ちょっと嬉しい。そんな焼肉屋が、今日も変わらず火を灯している。

たどり着く前から、焼ける匂いがごちそうだ
布施駅から歩いて5分。アーケードを抜けた頃、少しだけ焼けた香りが風にのってくる。吸い寄せられるように歩いていくと、目に入るのが「西光園布施店」の堂々とした看板。

店内に入ると、明るくて開けた空間が広がっている。掘りごたつのテーブルがずらりと並び、空間には適度な距離感。個室じゃないのに、自分たちだけの時間に自然と入り込める。
照明はきちんと明るいのに、どこか落ち着く。作りすぎてない、そのバランスがちょうどいい。
子ども連れでも、仲間同士でも、ひとりでも。誰が来ても、ちゃんと受け止めてくれる空気がある。
肉を焼く時間が、ごほうびになる夜

席についてメニューをめくると、どの肉も国産和牛。ちょっと高い。でも、ちょっとのごほうびとしては、うってつけだと思う。
まずは「タン塩」。薄くて、やわらかくて、でもちゃんと歯ごたえがある。網にのせて少し炙って、レモンをきゅっと。
最初の一枚がうまく焼けたときの、あの高揚感。焼肉って、味だけじゃなく“焼く時間”まで含めてごちそうなんだと思う。

「特選ハラミ」も忘れたくない。脂がほどよくて、じゅうっと焼ける音が、なんだか心をほどいてくれる。
チシャに巻いてもいいし、ごはんにのせて“焼肉丼”にしてもいい。甘めの特製ダレが、ごはんとの相性を計算したように馴染んでくる。

サラダとわかめスープも、自分で選んで“定食”みたいに仕立てると満足感が増す。好きな肉に好きな付け合わせ。自分なりの正解を見つける楽しみが、ここにはある。

そして締めは、手打ちの冷麺。コシのある麺に、ほんのり甘酸っぱいスープがすっと染みる。焼肉の余韻を、きれいにまあるく終わらせてくれる。
声をかけすぎない、でもちゃんと見てる
焼肉屋って、にぎやかで慌ただしい場所っていうイメージがある。でもここは、どこか静けさがある。
スタッフは、必要なときにだけそっと近づいてくれる。呼び鈴を押したらすぐに来てくれて、焼き加減を気にしてくれる。

押しつけじゃない、見守るような距離感。麦茶がピッチャーで運ばれてくるのも、さりげなくていい。お酒を飲まない人や、家族連れにもやさしい配慮。あたりまえのようで、意外とありがたい。
その焼肉は、記憶と一緒にあった

「今日は西光園にしよか」そんな一言で、何度も始まってきた夜がある。
誕生日、合格祝い、親戚が集まるお正月。ちょっとした節目に、この店の名前が自然と浮かんでくる。
東大阪にいくつか店を構えるけれど、どの町の西光園も、暮らしの中にちゃんと根を張っている。布施の町で、焼肉といえばここ。そう思っている人は、たぶん少なくない。
今日の夜に火を灯す場所

特別すぎず、でもちゃんと嬉しい。西光園の焼肉は、そんな場所の象徴かもしれない。焼ける音が会話みたいに響いて、煙の向こうに笑い声がある。
焼肉って、ただの食事じゃなくて、小さな記念日なんだと思う。その記念日が、今日の夜にもそっと灯っている。ここ、布施で。

SEKAI HOTEL Deep Osaka Experience(SEKAI HOTEL 大阪布施)
東大阪・布施商店街の空きテナントを客室にリノベーションし、近隣の飲食店や銭湯での”日常”を旅の一部として楽しむ「まちごとホテル」。観光地では味わえない、まちの日常の魅力を発信しています。
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